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zoom RSS 小説「坂の上の雲」から教えてくれるものその五

<<   作成日時 : 2006/09/13 11:33   >>

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小説「坂の上の雲」は司馬遼太郎の作品の中では珍しい男達のドラマである。
他の主な作品には縁の下であり、情愛の対象である女性が色々と出てくる。それらの女性達を通じて、坂本竜馬や木下籐吉郎等の人間描写が彩られる。
この小説は、著者は否定しているが『戦記物』であるから女達の出番がないのである。この小説を貫いているものは、純朴な男達がただひたむきな生き様であろう。平成になってこのように直向に生きる男は居なくなったようである。
税金で生計を立てている公僕にして、飲酒運転をして人を殺してしまう世の中なのだから。あれから今日まで毎日のように地方公務員の劣悪な生活態度の報道が相次いでいる。あの純朴さと直向はどこへ行ったのだろう。
小説でも、主役でも無いのに大きなページを割いて事細かな内面描写されている人物が居る。それは、ロシア満州軍司令長官クロパトキンとバルチック艦隊提督ロジェストウェンスキー二人である。当然、日本が優勢を勝取れた主要因がこの二人であるというのが作家司馬遼太郎の得た結論であった証左であろう。もし、彼らが大山巌や東郷平八郎のようであればロシアは圧勝していたに違いない。万に一つの幸運を握っていたのは、ロシア陸海軍の総指揮を二人がとっていたのを説明する為に多くのページを割いたと筆者は読み取る。
この二人に共通する性質は、官僚そのものという事である。戦に勝つ事よりもロシア皇帝ニコライ二世の機嫌を一番に考え、その上危険からは極力避けるという官僚本能そのままを描写している。クロパトキンに至っては、遼陽の会戦でもあの場面で引き下がらずに、ひた押していれば日本軍の勝利は無かった。彼は、官僚故に彼の公式にあてはまらない状態に耐えられなかったのだろう。「クロパトキンは日本に対して勝とうとせず、本国政府にのみ勝とうとしている(これが税金で養われている官僚の本質である。正面から何をすべきかを見ずに、自身の保身だけを考えている。)」と言い放っていたグリッペンベルグが立案し実行した唯一のロシア陸軍の攻勢作戦を、クロパトキン自身を引きずり下ろそうとしているグリッペンベルグの野望を打ち砕くべく、中途で撤退命令を出している。止めは、奉天の会戦でもひた押しに押せば勝てる所を、奉天北部に騎兵が出現した事を過大評価し、退路を絶たれるのを恐れて退却に踏み切っている。
日本軍でも何万人もの犬死を出した一番の責任者として伊地知幸介が悪者にされている。彼も、実績主義の官僚肌であって、一軍を率いる参謀の器ではなかった。もう一人、児玉源太郎の懐刀と言われた松川敏胤大佐も凡庸な秀才であったようだ。
あの少し品性に欠けるのを売り物にしているみのもんたの「朝ズバ」で色々やられている人々と類を同じくしているように見える。
ここの処を司馬遼太郎は一番書きたかったんではなかろうかと筆者は推察する。
未だ、百年経っていないものを書いたせいか、多くの男達が登場している。主に、陸軍の指揮官達である。やもすれば、引返したくなる状況で決死の行軍が綴られている。多くのとくがわに時代に教育を受けた男達が、氷点下四十度という極寒の中で敵と対峙し、退かず前進したかの描写が生々しい。後二回はこの編の締め括りにしよう。

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