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zoom RSS 小説「坂の上の雲」から教えてくれるものその七

<<   作成日時 : 2006/09/17 14:19   >>

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前段では、『運用』という言葉で締め括った。
秋山好古は、陸軍大学においてメッケルから勝利する為の原則及び訓練法・仏仕官学校において、騎兵の定理・士官学校のカルパンティエと呼ばれる老教官から騎兵の本質を学んだ。彼は、その自身の持つ『運用』力で以って、日露戦争における常識人では及びもつかない秋山支隊なるものを創り上げた。それを『運用』し、日本陸軍勝利の最大因子と司馬遼太郎に言わしめている。
子規にしても、高等中学校は哲学専攻という事で入ったが、文芸熱に犯され独学で「古今和歌集」を一句一句丁寧に読出し、他の歌集もそれに倣った。詠み進めていく内に、子規の『運用』力によって、「その六」で述べたが如く、そこらへんの高名な歌詠みは言うに及ばず歴史上の巨星達をもこき下ろして、現代俳句の礎を築いたといえよう。
真之に至っては、先生と呼べるのは二度訓導を受けたアルフレッド・セイヤー・マハンのみであった。二度の訓導で、マハン海軍哲学の真髄(「戦略戦術を研究しようとすれば海軍大学校におけるわずか数ヶ月の課程で事足るものではない。かならず古今海陸の戦史をあさり、その勝敗のよってきたるところを見きわめ、さらには欧米諸大家の名論卓説を味読してその要領をつかみ、もって自家独特の本領を養うを要す、と」)を鷲掴みにし、後は日中は米国海軍省へ日参し、夜は公使館の三階の私室で読書三昧であったという。子規は自身を『運用』して、それを自分流で編出し極めたと言える。真之の幸運は、米西戦争を目の当たりに作戦かとして熟成した目をもってマハンの教え子が撃破したのを見た事を忘れてはなるまい。
真之は海軍大学校に生徒として通わず、新設科目戦術講座の初代教授になったという一事で『運用』の大切さを思い知らされる。
小説「坂の上の雲」から教えられるものその三で紹介した西郷従道と山本権兵衛の二名に見えるのも『運用』の巧みさである。小説「坂の上の雲」から教えられるものその五で紹介したクロパトキンとロジェストウェンスキーの拙さは、自身の名誉と専制君主のめがねに執着による『運用』が出来なかった露呈でしかない。
維新の英雄は言うに及ばず、上杉鷹山や二宮尊徳等の煌く巨星達は、誰から教えられるまでもなく『運用』の達人であった。
これが教育されずに何ができようか。近頃の政治家・官僚達に見られる重箱の隅を突くような行いしかなしえないのは、教育の肝心を忘れたからであろう。飲酒運転等以ての外である。
近頃の、国・地方・政治・行政果ては民が病んでいるのは、テクニックのみを教え要を教えていないという教育行政に最大の責任がある。
無論、明治の初めにそれを手がけた文部省を『運用』できなかった維新政府の責任重大である。明治から悪かったと自省しない限り、現在おきている不幸はまだまだ続くであろう。
教員の方々は気の毒である。何世代もの間違いが自分達に降り掛かっているのだから。しかし、それをバネに先生方の『運用』力が徐々に付いている事も違いない事に目をむけよう。
小説「坂の上の雲」は作者司馬量太郎の思惑を大きく超えて現代に何を為すべきかを提言している事を知って頂きたい。次回から、奇跡的な明治を実現した江戸末期について見ていこう。

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内 容 ニックネーム/日時
なぜ彼らは「運用」力があったのか、なぜ彼らは「運用」力をつけることが出来たのか、現代の若者たちに「運用」力をつけるには、どうすればよいのか、そこを明らかにしてほしい。彼らには「運用」力があった。いまの若者にはない。それは文部省のせいだでは、説得力がないと思う。
首藤
URL
2006/09/17 16:12
それを語るのが本題であり、後、二十五回位になると思いますが、お付合い宜しくお願いします。『運用』という言葉を引出す為の小説「坂の上の雲」だったのです。
何をと一言で言って分るならとうに誰かが言って始めております。
一言言えば、次々と疑問が湧いてきます。サークルでは、疑問にお答えしようと一問一答を残した次第です。宜しくご理解賜りますようお願い致します。
Hbar
2006/09/17 16:35
学んでそれを運用する。
運用力とはすなわちテクニックです。
「テクニックだけ教えて肝心のことを教えてない」とあなたが言うテクニックとは具体的に何を指しているのでしょうか。
そのテクニックと運用力の違いを具体的に説明して欲しいものです。
六十路独り言
2006/09/17 22:33
 日本海海戦勝利の要因は、軍の運用と言われるのは変に思います。
Hbarさんも前に、最新鋭の艦船を一式揃える際の西郷従道,山本権兵衛の英断の話を書いていましたが、これは運用のレベルではなく、深い洞察・研究に基づいた国家戦略であったと思います。それを引き継いだ秋本真之などの戦略・戦術研究により、日本海海戦のT字戦法と砲弾の着弾点を確認する一斉射撃法の導入・訓練、強力火薬の開発等十分な訓練と準備が功を奏したものと思います。
 六十路さんの云われるように運用とは臨機応変に行われるテクニックの話と思います。
野草
2006/09/18 09:35
人格を使って自身を動かす事をこの場合『運用』と言っています。
現今、ツールを使う事のみに重きを置き、明治以来それのみが教育対象となっています。それ故、己が彷徨い、変な事件ばかりおきるのです。
命を懸けた政治決断は運用でしょう。
T字戦法等はテクニックになるでしょう。
古今の、戦の歴史を調べ、統括的に自身の考えの源泉を導き出す事は運用でしょう。
今後、少しずつ明らかにしていきますのでお楽しみ下さい。
Hbar
2006/09/18 11:29
先ほどのコメントで、文部省が最重罪だというのはお分り頂けると思います。それに、危惧を感じてこのブログを書いております。
三人居れば文殊の智慧と申します。書ける事からサークルで書いていけば私一人の考えよりましになると思います。宜しく、ご賛同頂ければ幸いです。
Hbar
2006/09/18 11:38

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