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zoom RSS 村瀬嘉代子先生の症例から

<<   作成日時 : 2008/05/19 18:11   >>

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講演では昨年迄大正大学、本年から北翔大学で教鞭をとられておられる臨床心理士で文学博士の村瀬嘉代子先生の臨床症例である6才の自閉症男子の紹介があった。

彼は2才で自閉症と診断を受け、薬物・遊戯療法を断続的に受けてきたが、状況にそぐわぬ独り言を発し、無表情であってプラレール電車の1人遊びと目玉焼き作り真似に固執して、他者の働きかけに無反応故で交流が成立しない状態で村瀬先生の治療が始まった。

観察によると、彼は無表情・孤立・学校でも無為で全てにお客様的存在であったが、電車の騒音と目玉焼きのできるプチプチという擬音だけは妙に生々しく写実的に口から出ていた。

先生は彼の耳元に「来週から担当になる」という気持を込めて、電車の音真似を小声で囁くと、無表情だった彼の頬はぽっと赤くなり、身をくねらせて微笑んだ。

治療者が車体によって異なる音を聞分ける事に気付き、先生は駅のホームで電車の停発車時の音を録音し、その録音だけ聞いて8000型、7000型等の区別が付くようになる。

セッションで、この録音した音をBGMとして流した時、子供は「それ僕?」と反応をする。

先生は「いいえ、君が電車が好きらしいので駅で録音してみたの。君が電車に似たのか、電車が君に似たのかっていうくらい、君は電車の音上手なのね。録音してみてビックリしちゃった。」と言った。

そして、プラレール遊びが分化し、学習に汎化していくという成果報告があった。


この事例で痛感する事は治療者が村瀬先生であったと言う事だ。

先生は治療者を冷酷に見極め、彼の持つ拘り(プラレール)から現実の電車への共感を呼覚ました。

それは初対面で聞取りが終わった時、先生による電車の音真似を小声での囁きが導いている。
その共感は治療者に電車の擬音(目玉焼き作りの擬音が得意)を真似させる事に成功している。
電車の発する擬音に集中した治療者は車種の違いまで擬音が出せるようになる。

そして、録音した音を聞かせて自身が発した音と紛い、駅で録音した電車の停発車音のデータベースから治療者自身のデータベース作りをするという脳に回路が生れた事になる。

詰り、治療者は小脳のリムーバブル領域が使え無い為に真似による回路作りの基盤が無かった為に、状況にそぐわぬ独り言を発し、無表情になり拘りしか持てなかった。

只、言える事はプラレール電車の1人遊びと目玉焼き作り真似に固執が既成の回路であった。

その回路を使って汎化できるストーリーを如何に書けるかという事だ。


抱締めると言う対応は正攻法ではある。
母親が発する心音は確実に自閉症者が持つデータであると言う理由からだ。

もう1つ裏口がある事を村瀬先生は教えて下さったように考える。
自閉症者の持つ拘りからどうその個人特有のストーリーに繋げていくかという方法論だ。


困っている自閉症者は必ず特別な拘りを持つ特性がある。
その拘りからその自閉症者に有効なストーリーを描き、楽に向かう事を願う。



明日はパニックの症例を紹介する事になる。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この子の気持ち、よくわかります。
6年の間に自分なりの物事を理解する回路ができていたんですね。
それが周囲から見るとこだわりと見えていたのだと思います。
私は以前自分の記事に、「こだわりは自閉症者にとって生存行為そのものだ」と書いたことがあります。
そして、こだわりをなくすのではなく、いかに汎化させていくかが大切と考えるところも同じです。

とても共感できる記事でした。
卵畑
2008/05/21 09:51
卵畑さんにそう言って頂いて、本当に嬉しく思います。多くの方々に非難され、無理やり心の中に入り込み、修復できない傷を付けたのではという危惧を持っておりました。やはり、自身に正直な気持で良くなって頂きたいという私の信念に応えて頂いた事が嬉しい。
お母さんとは大人なんですから、話をして抱合えば良いではないですか。お母さんもお喜びになると思います。ご自身の為に良いと考える事は積極的になさったら良い。大きくなってと思う必要はありません。
その方が球助君の為にもなると考えます。
hbar
2008/05/21 10:44

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