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zoom RSS 高次脳機能障害の本態と療育への提言

<<   作成日時 : 2012/08/15 16:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 6

はじめに
2007年8月、丁度58才4か月の暑い夏に、ダニウェル・ゴールドマン著「生き方の知能指数」の第9章「心の行間を読む能力」を読んでいる時、《これは私の状態そのものではないか》と心の叫びに揺り動かされた。
10日ばかり悩んだ後、不眠障害治療の為に通っていた精神科医に「私は自閉症か」と尋ねると、「貴方はアスペルガー症候群ではなく、高機能自閉症です」と断定された。大いにショックであったが、それまでの自分探しをしていた自分に対して1つの回答と受止め、最後の自分探しと位置付け、脳神経科学を通して自閉症研究に志した。
世を見渡せば、障碍を後ろ向きにしか考えられず、苦しんでいる本人及び保護者が数知れず居る。彼らの苦しみを軽減する為に、学んだ脳神経科学の知識をわが身に照らし合せる事を試みる積りだ。退化ともとれる高次脳機能障害が進化かもしれないという福音を、この論で記し、多くの人々に希望を与えたく推論を進めたい。
最初のブレークポイントは、その年12月にイタリア文化会館で行われた21世紀フォーラム主催の「ブレイン」というパネルディスカッションであった。そのパネリストの1人、理研顧問の伊藤正男先生が「自閉症の原因は小脳かもしれない」と最後にポツリと仰った言葉を聞いたことだ。
講演会直後に、新宿にある紀伊国屋書店において、丁度刊行が始まったばかりの東京大学出版会が出した「脳シリーズ」の第1冊目『分子・細胞・シナプスから見る脳」を購入したのも運命的なものを感じる。
この論文によって、真実を知らず苦しんでいる自閉症者本人及び苦しみを共有する家族に対して勇気を持って人生に対して前向きになれるという気持が引出せたら、これ以上の幸福はない。

方法
高機能自閉症と診断された翌年から刊行された東京大学出版会発行「脳シリーズ」を基礎に様々な観点から書かれた脳神経科学書籍(日経サイエンス、ニュートンも含む)を読み、自身に起る脳の姿を想起した。又、松山大学であった北海道大学の田中康夫先生の講演を基にブログ「よく考えよう」で2,008年3月20日から6月24日の3カ月余りの間に「公汎性発達障碍(自閉症・アスペルガー症候群)」の題で8万5千語に及ぶ書込みをして、自閉症全般の理解を深めた。その上で4年に及ぶ考察をし、現在の結論を得た。

結果
学び始めて、5年経った今、伊藤先生の一言が去来する。事実、僑小脳の発達不全によって、前頭葉が教師信号を受取れず、それを含む神経回路に教師信号からのGO信号が出されない為に、運動野に命令発信が為されない。それが自閉症の症状である。
そうして、小脳の欠損を大脳のワーキングメモリーで補う為、自閉症者が「俺ルール」を創生している事に確信が深まった。
あるべき療育は、知的障害者に対して愛情を注ぐ事を提唱したい。抱擁等、身体に受ける快感は脳幹からのモノアミン神経伝達物質の発射を促し、脳全体に活動を促す。小脳の可塑性によって教師信号が生れる可能性があるからだ。又、「俺ルール」ができていれば、それが拡大するよう促すことが療育者の務めだ。
「俺ルール」データベースの拡大こそ、天才を生む原動力だからだ。
これを汐に、療育手法の抜本的且革命的改善を求めたく、研究結果とする。

考察
常者よりも小脳の体積が大脳比で小さい1)。
事実、私も子供の頃、「絶壁」「直角」等とあだ名がついていたのだが、そういう頭の形状は小脳の内で最後に形成される虫部隆起2)が盛上っていない証拠であろう。
(独)理化学研究所平成が19年3月23日分泌関連分子であるCADPS2遺伝子3)欠損マウスにおいて、脳由来神経栄養因子(BDNF4))の分泌が小脳発達途中において、BDNFが著しく分泌減少して、細胞分裂や細胞成長が阻害されたとそのニュースレターによって発表している。その作用によって小脳虫部隆起5)が盛上らなかったと推察される。何れにせよ、発達途中で細胞数やその軸索及び樹状突起が遺伝子通りに成長していない事が小脳の体積が小ささの裏付と考える。
小脳の構造は系統発生に基づけば、原小脳6)・古小脳7)・新小脳8)に分類される。古小脳は前庭小脳とも呼ばれ、平衡感覚を司り、頭部と眼球の運動を調整し、体の平衡を維持する。古小脳は脊椎小脳と呼ばれ、脊椎からの深部感覚を受信して、主に四肢や体幹の筋緊張を調整する。大脳辺縁系9)及び視床下部10)等の神経核群調整もここが行っていると考えられる。古小脳までの機能不全は命の危険がある為に、CDPS2遺伝子は正常に働いていると考える。新小脳の発達途中でCADPS2遺伝子に活性が失われて、細胞本体・軸索・樹状突起・シナプス小胞の生育が抑えられた結果、新小脳がホメオティック遺伝子群11)に記載された発生から外れ、小脳体積の減少となって顕れる。
小脳の発生順序はホメオティック遺伝子群によって中枢神経の発達と対をなしている。詰り、生後直後は大脳皮質で後半に発生したものについては対応した橋小脳12)は存在していないと考えられる。それが有名な山本おさむが書下ろした劇画「どんぐりの家」13)第1回「誕生の日」での衝撃的なシーン、田崎圭子の爆走であろう。この行動を起因せしめたものは腹内側前頭前皮質14)が橋15)を通じて新小脳から教師信号16)を受取れないのが原因と推測する。
原小脳は平衡感覚に、古小脳は四肢や体幹の筋緊張に教師信号を与える。同様に新小脳は大脳皮質に教師信号を与えるのだが、体積が小さい為に、生後直では腹内側前頭前皮質に対応する領野が存在していない為、意思が決定できず、散乱したのが原因だろう。
では、どんぐりの家において、田崎圭子が時間の経過と共に発達したのは何故かという疑問に突当る。それは大脳・小脳が共に可塑性17)に富んでいるという事が原因と推測する。
平成23年12月24日午後9時から放映のあったNHKスペシャル「ミラクルセンスを磨け」にあった3人の主人公が可塑性の真実を見せている。一人目の全盲者は、自身の舌を弾ませて出した音の反射音を解析して、健常者と変らぬ行動をし、2人目のソムリエは卓抜した臭覚記憶を拠所としたサービスを提供し、3人目の中村俊介は並外れた空間把握力でのプレーを見せた。
3人共に、大脳地図はホメオティック遺伝子群に従った健常普通人が使うものとは異なるものに変化していると考えられ、これは大脳の可塑性を証明するものだ。よく自閉症の原因を遺伝子に起因するとして研究している脳神経科学者が居るが、この柔軟な可塑性を見る限り見当違いであろう。そうではなく、自閉症における2次障碍の大方は、小脳の可塑性によるものと考えれば大方説明できると考える。
生後直におけるホメオティック遺伝子群による小脳地図は体積不足の為、途中で途切れている。しかし、教師領域を持たない大脳の前頭前野は、様々な神経伝達物質(ドーパミン18)・セロトニン19)・オピオイド20)等)によって神経伝達反応を起し、それに対する教師信号を希求すると考える。そこで1番暇な小脳チップ21)に橋を通じて送られたきた情報を可塑性が発現して割当てると考える。その割当てられた小脳チップがホメオティック遺伝子群によって割当てられていた大脳の領域から教師信号を奪うことが自閉症の2次障碍を説明する真実であろう。
そういう小脳の可塑性に助けられ、人間の高次脳機能に教師信号が届いて低レベルながら言語や社会生活に適応する能力を獲得する事こそ療育の真の姿である。
私自身、内耳起因による難聴・平衡感覚が正常でない等、数多くの2次障碍を抱えている。これらの障碍は、大脳がホメオティック遺伝子群に従って働いていれば、起きていないはずだ。しかし、それらの障碍は脳にとって言語や社会性と比べれば重要性は低いので2次障碍となっている。
小脳体積の小さい自閉症者の2次障碍が可塑性の為であるのは、ホメオティック遺伝子群に従った大脳との対応が崩れる為であろうと考える。私も平衡感覚に乏しく、内耳起因による障碍を持つ。これは、発生当初成立していた大脳との対応関係が、その障碍よりも人間にとって最も重要な本来社会脳を形成すべき前頭前野及び頭頂葉が必要とする教師信号を満たす為に、最低限のものを残して対応が移動したと考えればその障碍が説明できる。
その他にも、注意欠陥障碍22)や感情の起伏が少なく記憶力も悪い欠点を持っている。感情の起伏の少なさは偏桃体に、記憶の悪さは海馬に対応した古小脳の1部が新皮質への教師信号にとられている為であると考える。これらの悉くは、難聴・平衡の場合と同様に小脳細胞群の可塑性によって、より人類にとって重要なものに対応した結果であると考える。
自閉症と共に併発する注意欠陥障害を論じる。健常人は4才位までに獲得する社会生活基盤データベース(俗に言うミラーニューロン23)や社会脳24)を含む)に対応する橋小脳25)が大脳の教師信号として機能する。詰り、健常者は注意しなくても周りから見れば、注意が行き届いているかに見え、殆どの行為で何回か経験しているので、教師信号を持つようにホメオティック遺伝子群によって対応関係が形成されている。しかし、注意欠陥障碍者は、その対応関係に欠損が生じている為、注意を前頭前野のワーキングメモリが担当する事になる。健常者は無数の行為において教師信号を通じて注意しなくても注意したかのように見える。しかし、注意欠陥障碍者は限りあるメモリで、懸命になって演算しているわけだ。演算漏れは無論のこと、教師信号なしでの演算に不備があっても可笑しくはない。
私自身、ここ数年を見ても、下手をすると命に関わる事故に幾度も見舞われている。自転車に乗っていて、歩道の路肩にぶつかって転び、大怪我をして救急車のお世話になった事もある。河豚の大きな骨を呑み込み、その骨が小腸にまで達し、小腸を突き破り腹膜炎を起したのは最近の事だ。若い頃には、知らないものだから、原付バイクの免許を取って、運転初日にタクシーに正面衝突して、6ヵ月の入院もした。
「俺ルール」26)について取上げよう。「俺ルール」は高次脳機能障碍を持つ発達障害者が他に対して対応する為に勝取る能力と位置づけたい。出生時に、ホメオティック遺伝子群に従っていれば、大脳の最後の膨張部である前頭葉に対する教師信号を与える橋小脳に担当する小脳チップが存在しないことが高次脳機能障碍の正体であると推論したい。教師信号を持たない神経回路は答えの出ない無限ループを形成すると推測され、外からみれば無反応の次に錯乱に映ると考える。何か刺激を与えても、それに対して正しい神経回路の形成への教師が無い為、運動野への出力が無い為の反応と考える。
自閉症は何故発達へと向かうのかは、脳幹からのモノアミン神経伝達物質の終脳への投射から始まる。モノアミン系の神経伝達物質は強力に前頭葉組織に働きかけ、それは小脳へ教師信号を求めるべく、橋を通じて偶々空いて容量のある小脳チップに教師信号の役割を担わす。結果、ホメオティック遺伝子群に従って対応していた神経回路の教師信号が歪になるので、二次障碍へと繋がると考える。私の平衡感覚不全、難聴、感情の起伏が少ない、物覚えが悪い等はこういった原因によるものと考える。
こうして、常に出続けているモノアミン系の神経伝達物質の作用で、可也長い時間をかけて前頭葉は教師信号を獲得すると考える。幼少時の自閉症者の脳が大きいのは、前頭葉が働かない為に、要らない神経組織が発生しないので消去されないからだ。逆に健常者は4才までにミラーニューロンを中心とした社会脳の原型が完成される為に、無駄な干渉の原因となるようなシナプス・樹状突起・神経細胞をアトポーシスさせる為に、自閉症者よりも脳体積が小さい。この社会脳の欠如が自閉症の症状として現れる。こうして、自閉症者は人類最大の宝である大脳の司令塔を獲得する。
これでようやく「俺ルール」を獲得する準備が整ったのだ。「俺ルール」の役割は、健常人が何らかの意思決定をする時に、その神経回路に対応する小脳チップが教師信号を出して、その意思決定の成功が約束されるのに対して、その教師信号の乏しい自閉症者は「俺ルール」というデータベースを作って、成功を約束させるものを前頭葉内部に作成すると考える。私の知っている知的障害者は、以前にゴミを拾って誉められた経験を多く持ったからであろう、ゴミが落ちていると拾うし、それだけの目的の為に出かけている。詰り、「ゴミを拾えば誉められる」という「俺ルール」を獲得したことになる。
できて初めての「俺ルール」は上に述べたごとく非常に単純なものだ。自閉症者がたった1つ獲得した「俺ルール」によって膨大な単純記憶を獲得した例は多くある。卓抜した記憶力の源泉は「俺ルール」のみによって説明できる。膨大な記憶をリレーショナルデータベースとして記憶するので、健常人には驚くべき記憶力と映る。そのリレーショナルデータベースを形成する属性は「俺ルール」の中に取り込まれ、「俺ルール」によって得られる世界は広まる。健常人であれば、社会脳として活用されている脳領域は、自閉症者には多くの空白領域として存在しているので、アインシュタインが自閉症者として、素粒子論の基本理論「相対性原理」27)を生出したのもこういう相互作用が連続して起きた結果だろう。「俺ルール」は教師信号の乏しい自閉症者が小脳の容量不足を補う為に創出されたと考える。それによって、知的障害者さえ自身を保って生活できる訳だ。箸の上げ下ろしでさえ「俺ルール」の範疇に入る。それは自閉症者が通常出逢わない状況に対して、抵抗を示すことからも想起される。そのデータベースが大きくなる事を自閉症者の発達と捉えたい。
私自身、相手をしてくれる近所の小父さんにも恵まれていたせいか、前頭葉は動いていて、電車の好きな幼児であったように覚えている。幼い頃はボーとした児童であったようだ。幼稚園に上がって、注意が散漫ということで、児童相談所へ母に連れられて行った覚えもある。指導員の勧めで、一点を見る訓練をしたこともある。幼稚園から中学校の低学年までは虐められっ子でもあった。私は周囲の幼児からみると、耳が遠いこともあり、歯痒かったのであろうと覚えている。その折にも自分なりに「俺ルール」があったと想像している。
小学校に入っても、今から思えば学習障害だったのかもしれないと思うほど、努力している割に成績が悪かった。3年生になっても九九も中々覚ええなかった。その夏休みだと思うが、祖父が自転車を押しながら、かなり長い時間をかけて九九を覚えるのに根気よく覚えるのに反芻して手伝って貰った記憶がある。その後、少し色々な記憶力がついたような気がする。詰り、学習して記憶する時に働く回路に対する教師信号を獲得したのかもしれない。
学業は少しずつ向上していった。しかし、現代国語を克服すのには高校3年生までかかり、古文や英語などは未だに不得手なままだ。転機が訪れたのは中学2年生になって、やはり夏休みに祖父から囲碁の手ほどきを受けてからだった。元々、父が近隣の小父さん達とザル碁を楽しんでいたので、父に「教えてくれ」と要望するのに「勉強の邪魔になる」と拒否されていたので、本当は叔父に教えていて、横で見ていた私が水を得た魚の如く覚えた幸運に感謝したい。父が楽しんでいるのを数限りなく見て、近所の友達と石取りゲームと称し、楽しんでいたので囲碁を楽しむ神経回路が出来ていたのであろう。夜、寝てから天井に碁盤が出てきて、頭の中で楽しんだのを覚えている。
囲碁は別名、手談ともいう。打つ一手は、その打つ本人の神経回路そのものである。相手の打った手を見て、自らの頭を働かせる訳だ。これは正に、コミュニケーションそのものでもある。そして、その中身は「厚み」「壁」など普通に使う言葉が囲碁用語としてあり、通常では理解に難しい概念の理解に繋がる。この囲碁を「俺ルール」とした為、私を自閉症者として見るものは居ず、自ら営む流通業を20年続けえた。私は自分を変わり者として任じ、何が悪いのかと世間に対して応じていた。
流通業を小規模で経営していくには自動車の運転が不可欠だ。20年に及ぶ運転暦で、違反反則金及び修理費に一千万円以上を支払ったのも注意欠陥障碍による影響は大きい。よくも20年に亘って、人を死なすまでも無く人身事故の無かったのは幸運であった。
しかし、社会に対して「俺ルール」は最後には敗退した。組織人に対する「俺ルール」は機能したが、一対一の人間に対するコミュニケーションを「俺ルール」では対応できなかった。その場で臨機に対応するには、「俺ルール」では不可能であり、これに対するコストが自営業を廃業に追い込んだ。外見には随分儲かっている商売にしていたのだが。
自営業において「俺ルール」が通用したのは、商売に信用が不可欠であり、約束を守る事が最大のものであった。又、囲碁において攻撃や守備に対する心構えも大きな要因をなしていたように思う。それ以外にも、常に自分探しをしていて、仏教・朱子学も多く学習した事も「俺ルール」の発達に寄与している。どちらかと言えば、大きな商いに繋がる組織には強く、対人は中々巧くいかなかった。それと、普通の人は恐れる所を、躊躇無く約束を守って遂行できたのも大きかったように感じる。
自身の経験や脳神経科学の学習から療育について書く。先ず、乳児の小脳体積をMRI画像で計測することを推奨したい。生後直に、障碍が推測できれば、対応が大きく異なると考える。前頭葉を働かせる為に、普通以上に喜びを与えるようにすれば、脳幹部からモノアミン系神経伝達物質が大脳全般に照射する。結果として、モノアミン系の神経伝達物質を受取ったシナプスは、その神経細胞が形成する神経回路が活性化すると考えられる。活性化された神経回路は、橋小脳を通じて教師信号を要求する。その繰返しによって、様々な社会的機能を満たす神経回路が教師信号を得て、瞬時に次の神経回路に繋ぐべく神経伝達物質をシナプスの隙間に吐き出し、次の神経回路が動き出すと想起される。
これによって出来るものが「俺ルール」だ。療育が心掛けることは「俺ルール」を育むことしか無い。現在、ABA等を代表とする療育手法は、脳機能障害をブラックボックスと見立て、行き当たり任せの方法ばかりである。療育の対象となっているのは、「俺ルール」を持つ者であって、知的障害者は含まれて居ない。療育は学習であるので、脳内に学習痕跡を残しているが、自然に任せて学習するのには無駄は出ないが、人為的に計画される療育は重複や不連続があり、最後には何の役にも立たないものが脳内に学習結果として残る事は忘れてはならない。欝などの3次障害はこういうことの積み重ねが大きいと考える。生れてきた「俺ルール」を解析し、それを継承させるような療育を心掛ければ、脳内に干渉を生むような痕跡が残らないと考える。こういう心掛けによって、現在問題になっている成人障碍者の苦しみを多く取除けると考える。
療育者は、その担当する自閉症者が持つ「俺ルール」データベースを理解し、それを伸ばしていくよう療育しなければならない。もし、何かを追加するとしても、「俺ルール」を構成する属性とどのようなリレーションシップを持つのか検討する必要がある。そのような療育を心掛ければ、知的障害児の中からも個性豊かな社会に役立つ人が多く出てくると信じる。属性を増やすに当ってのもう1つ重要な要素は、囲碁・仏教・朱子学のように長年に亘って発展してきた塊とみられるものにしたい。
もし、言葉を教えるにしても、単語特有の絵詞を使うのではなく、意味は解らなくとも物語りとしての塊を数多く読み聞かせていれば、児童は言葉データベースを作ると考える。効果を急がなければ、ある日突然に美しい言葉が泉のように湧いてくる。私も読み聞かせを随分と近所にあった児童図書館の館長さんから随分して貰った。しかし、現実の国語の成績は芳しいものではなかった。それが、高校3年生になって現代国語が得意科目になった。それは長い年月を掛けて、母や館長さんから読み聞かせをして貰い、児童図書も読み、囲碁用語の集積、得意科目であった数学の問題等が、結果的に言葉のデータベースとなって、こうやって文章を書けるようになった。
経験から言えることであるが、無理に単語のみを教えるような愚は止めて欲しい。結果として「俺ルール」データベース作りを阻害しているに過ぎないのだ。「俺ルール」の後押しをすることこそ療育の本義と理解して欲しい。それと脳神経における回路作りが鹿おどしの原理からきている28)のと同じスキームが「俺ルール」作りにも適用されていると考える。
最後に、「俺ルール」の中に囲碁に止まらず、仏教や朱子学のような世界の叡智を取り込めば、健常人よりもより理想的な人間が出来上がるに違いない。こう考えれば、哺乳類が臭いに反応する神経細胞を減らして、他の特殊感覚に対応する領域を大きくして大脳を膨張させて人類の繁栄を築いた如く、橋小脳が途中で成長を止めた結果、理想的な人類へと進化したといえなくも無い。人類の出発時には、狩をしても稲作をしても大きな集団として行動することが欠かせなかった。そして人類は社会脳を発達させたホモサピエンスのみが繁栄したとも言える。しかし、現代社会は分業が進み、人類が分担すべき職業が1人立ちしたかのように見える。詰り、他者を慮ることが職業にとって小さくなったと言えよう。社会が個性を求めだして半世紀が来ようとしている。詰り、自閉症は社会から必要とされて生れてきたと考える。詰り、自閉症は進化であると断定すのは言いすぎであろうか。もし、進化であるとしても、この人類社会そのものが変容しなければならないし、それが大前提ではある。
赤ちゃんがお腹に宿り、母親となった時点での義務教育化を提言したい。お腹にいる時から赤ちゃんへの対応を父親と共に義務教育として単位取得を義務付ければ、現代社会が抱えるドメスティックバイオレンスや虐待の防止に繋がると考える。発達障碍が生後直に分分かるのも大きな副産物だ。人類の未来を明るいものにしたいものだ。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
30代のADHD当事者です。
高機能自閉症の本態についての考察、新しい見方で大変勉強になりました。
ご自身の経験と学びから、こうした密度の濃い思索を積上げてこられたことに敬意を表します。

一つお聞きしたいことがあります。自閉症者は今ある社会に適応すべきなのか、それとも社会の常識とは異なる独自の道を模索すべきなのか、いうことです。自閉症者は「俺ルール」を拡大深化させていくべきだ、というブログ主さんの主張は、そのどちらにも取れるように思います。
また、ブログ主さん自身が歩んでこられた人生も、社会適応と独自路線の両方の側面を含んでいると思います。

「こちらが正解だ」という単純な話ではないと思うのですが、ブログ主さんのお考えを伺えれば幸いです。
_citadel
2012/08/16 10:21
_citadelさんようこそ。
社会の変化を求めます。
発達障害対応に止まらず、教育全般について全面見直しが必要です。更にいえば、統治機構に止まらず、人類への社会が対応を変えていくべきでしょう。発達障害者は社会への対応の為に「俺ルール」データベースを構築する訳ですから、社会が変れば健常者に違和感の無い「俺ルール」データベース構築に向かいます。
若年雇用が減少していく中、社会全般のあるべき姿が求められています。
Hbar
2012/08/19 10:18
お久しぶりです
コメントをありがとうございました
今回の記事は・・私などが、簡単にどうこうと口を挟めることもできぬくらいに難しい内容でしたが
ただ、Hbarさんが長い間ご自分の病気に向き合われ、障害を乗り越えて行くがための指針とすべく、努力をなさってこられたことが解ったにしかすぎません
具体的にはどういった支障があるのかも解らぬ私ですが、障害を乗り越えるべく、前を向く努力を惜しまれないHbarさんにただただ拍手ですし、
健常者という立場の上に胡坐をかいてしまいがちな自分を少しは反省もさせられました
Hbarさんの長年の研究を論文としてまとめられたとか・・
良い方向への一歩となればいいですね
風子
2012/08/19 17:14
風子ちゃんようこそ。
やっと、一本目の論文が仕上がったということです。査読して貰った結果、この文がどう変るか分りませんが。
Hbar
2012/08/19 23:09
お久しぶりです
お元気でしょうか?
「お知らせ」なんですが、私のブログ、「ブログ気分で・・。」は、まだ続けていますが、ワケあって、URLが変わってます
そんなことで、今度、こちらへいらっしゃることのある場合はこのコメントから、来てくださるようにお願いします
今までに、なにか(お気に入りだとかRSS)に登録したものからでは、ブログが有りませんの表示になると思いますので・・
以上、お知らせでしたが、ヨロシクお願いします
風子
2012/11/17 17:16
風子ちゃん、ご丁寧に有難う。
長年のお付き合いは大切だね。
Hbar
2012/11/24 19:45

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