自閉症を標的とした遺伝子解析は遥か彼方

自閉症の原因として遺伝子によるものとの考えから様々な遺伝子解析がマウス等の遺伝子組換による研究が盛んに見える。そうして、それは科学的で正しい事のように人文系の学者及びそれらを宛にしている障害者や保護者に要らぬ危惧を与えているのではなかろうか。遺伝子によって何が分るのか甚だ疑問だ。

確かに、自閉症は家系による発症率が高く遺伝で無いかと疑う人は多い。最近のDNA鑑定の確かさを見ても雅に水戸光圀の印籠と言う役回りをDNAは占めたかの観もある。今世紀初めに発表されたヒト・ゲノムによってその持つ細胞、それが唾液や毛髪であっても他との識別は明白となる証拠が出来た感がある。

ヒト・ゲノムは人間の持つ遺伝子の配列を決定付けた。しかし、その遺伝子が我々の肉体に対して如何程の影響を及ぼしているのかは無明の闇と言うしか無いのが現状だ。ヒト・ゲノムによって2万以上の遺伝子の特定はできたが、その遺伝子の役割は我々生命体を決定付けているタンバク質のアミノ酸配列を決めているに過ぎない。

出来上がったタンバク質が我々にとって何を齎すのかはその遺伝情報だけでは全く特定できていない。あの酸素を運ぶと言うヘモグロビンと言う馴染みの深いタンパク質でさえ、偶々そのラグビーボールの凹みに鉄分を含むヘムがある故に、そのヘムが酸素を吸着して血液中を肺から処々のミトコンドリアに運ばれ、我々に必要なエネルギーへ変換される。

そういう機能自体遺伝子情報には書込まれていない。ましてや自閉症の原因となる遺伝情報はゲノムそのものには何も書いていないと言って過言では無い。ゲノムによってアミノ酸配列は確定できる、否それも遺伝情報に拠らないmRNAやTRNAの働きによって真に配列が決定されるのであってゲノムは基礎データしか提供していない。

多くの研究者が鼠や猿を使ってやみくもにタンパク質を探し当てる実験を繰返しているに過ぎない。出てくる成果は全て数%に満たないベンチマークしか得られていない。唯一、25%の成果を挙げたのが理研のチームによる神経成長因子と言うタンパクが減少したものと自閉症の相関が得られているだけのように見える。

何より大切なのは目の前に困っている人が居る事だ。ノックアウトマウスを幾ら作ってもそれによって出てくる結果はアミノ酸の配列のみでそれが自閉症とどう関るかという最も必要な情報に辿り着く手立ては無い。ヘモグロビンが酸素を運ぶ作用を発見したからそのヘモグロビンと言うタンパクの構造が見付った事を認識して欲しい。鶏が先か卵が先かであるが、困った人が先である事は否めない。

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